いっぱい飯

子供の頃に見たお葬式のイメージの中で、不思議と鮮明に覚えているものとして挙げられるのが、故人の枕元に置かれた茶碗に、これでもかと言わんばかりに盛られたご飯のイメージではないでしょうか。しかも、箸が立てられているという衝撃的な絵は、子供心に突き刺さるものであると言えるでしょう。この衝撃的なご飯のことを、専門用語では「いっぱい飯」もしくは「一膳飯」と呼ばれているようです。また、一緒に団子と水が供えられることが多いこともあり、これらを併せて「枕飯」とも呼んでいると言われています。「いっぱい飯」とは、故人が亡くなったらすぐ、故人の愛用茶碗にすり切りいっぱい入れた米を炊き、めいっぱい故人の茶碗に盛りつけたものを指しており、突き立てられた箸も故人が生前使っていたものを使用するとされています。地方によっては箸の数が異なったりもするようです。また、地方によっては「いっぱい飯」を炊いた釜は、初七日までは使ってはいけないという風習もあったりと、様々な継承のされ方が見られるものでもあるでしょう。もともと「いっぱい飯」には、故人を蘇らせる招魂の意味があったともいわれていたそうで、白米が高級な食べ物だった昔、ご馳走の魅力で死者の魂を呼び戻そうとしたという目的があったと言われているようです。突き立てた箸は、戻ってくる故人のための目印とも言われていたようです。また、故人が旅に出る際の食事として「いっぱい飯」を供えるという説もあるようですが、実際に、どれが正しい説であるかはわからないとされているようです。子供のころ、ご飯に箸を立てるのは縁起が悪いからやめなさいと言われた人も多いのではないでしょうか。これは、普段の生活から「死」を切り離そうとする風習からくるものなのかもしれません。火葬式では、相談次第で備えることもできるかもしれません。

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